
小学生陸上の食事|走る競技のエネルギー補給と回復、鉄分のはなし
「走り込みの日のあと、疲れが残っているみたいで」「最近なんだか元気が出ない様子で心配」。陸上を頑張るお子さまの保護者の皆さまから、こうした声をよく伺います。走る競技は、エネルギーをしっかり使い、走る動きが鉄分の需要を高めやすいと考えられています。今回は、走る競技を支える食事の工夫を、公的資料をもとに一緒に整理していきます。
走る競技に共通する「エネルギー源」のはなし
陸上は、短距離も長距離も、走るために多くのエネルギーを使う競技です。そのエネルギー源として中心になるのが糖質です。糖質が不足すると、練習後半のスタミナが切れやすくなったり、疲れが抜けにくくなったりすると報告されています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、炭水化物(糖質)は1日のエネルギーの多くを担う栄養素として位置づけられています。ごはん・パン・めん類・いも類・果物が身近な供給源です。
走る競技では、3食の主食をきちんととることに加えて、練習前後でエネルギーを切らさない意識が役立ちます。練習前に食事から時間が空く日は、おにぎりやバナナを軽く一口足しておくと、走り出しのエネルギーを確保しやすくなります。炭水化物のとり方の目安は、こちらの記事でも詳しく扱っています。
短距離と長距離で少し違う意識
同じ陸上でも、種目によって体の使い方が異なるため、食事で意識したいポイントも少し変わります。とはいえ、どちらも基本は「糖質を切らさず、回復を支える」点で共通しています。
短距離・跳躍など(瞬発系)
短距離やハードル、跳躍は、短い時間に大きな力を出す瞬発系の種目です。力を出す動きと着地を支える筋肉や体幹の材料として、タンパク質も意識したい栄養素です。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品から、3食に分けてこまめにとり入れる考え方が役立ちます。
中・長距離(持久系)
長く走り続ける持久系の種目では、エネルギー源である糖質を切らさないことがいっそう重要になります。練習量が多い時期は、必要なエネルギーが不足しないよう、主食をしっかり、補食でこまめに、を意識したいところです。
走る競技で意識したい「鉄分」
なぜ走ると鉄分が大切なのか
鉄分は、全身に酸素を運ぶ役割を担う栄養素です。走る競技では酸素を多く必要とするため、鉄分の需要が高まりやすいと考えられています。鉄分が不足した状態が続くと、疲れやすさやスタミナの低下につながる場合があると報告されています。
特に成長期は体づくりにも鉄分が使われるため、不足しやすい年代の一つとされています。女子は今後の成長にともない、より鉄分が不足しやすくなる時期を迎えると考えられているため、男女ともに食事から意識して取り入れたい栄養素です。
まずは食事から、気になるときは相談を
鉄分は、赤身の肉や魚、レバー、あさり、大豆製品、小松菜やほうれん草などの青菜に多く含まれます。ビタミンCを多く含む野菜や果物と一緒にとると吸収を助けると考えられているため、食事の組み合わせも意識してみてください。鉄分の取り入れ方はこちらの記事でも詳しく扱っています。
一方で、「貧血では」と保護者の判断だけで決めつけたり、サプリメントで補おうとしたりするのは控えたいところです。疲れやすさやだるさが長く続く、顔色がすぐれないといった様子が気になるときは、自己判断せず、まずはかかりつけの小児科に相談してください。受診のうえで必要かどうかを確かめることが、いちばん安心です。
練習前後の補食と回復
練習前は「軽い糖質」でエネルギーを
練習の前に食事から時間が空くときは、消化のよい糖質を軽く補っておくと、エネルギー切れを防ぎやすくなります。おにぎり半分やバナナ、カステラなど、のどを通りやすいものが向いています。直前に多く食べるとお腹が重くなるため、量とタイミングを調整してみてください。
練習後は「糖質+タンパク質」でリカバリー
走り込んだあとの体を回復させるには、使ったエネルギー源の糖質を補い、体の材料になるタンパク質も合わせてとる考え方が役立つとされています。おにぎりと牛乳、バナナとヨーグルトのような軽い組み合わせを、練習後できるだけ間をあけずにとり、帰宅後の食事につなげていくとよいでしょう。補食の選び方はこちらの記事でまとめています。
走る競技と水分補給
走る競技は思った以上に汗をかきます。水分が不足するとパフォーマンスにも影響すると考えられているため、こまめな補給を習慣にしたいところです。
日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では、運動時の飲み物の温度の目安を5〜15℃とし、一度に大量にではなく、こまめに少しずつとることをすすめています。のどが渇いてから飲むのは、すでに軽い脱水のサインとされているため、渇く前のこまめな補給を意識したいところです。たくさん汗をかいた日は、塩むすびや味噌汁などで塩分も合わせて補えます。水分補給の考え方はこちらの記事でも詳しく扱っています。
こんなときは医療機関へ
練習後の一時的な疲れは、休養と食事で整っていくことが多いものです。一方で、疲れやすさやだるさが長く続く、顔色がすぐれない、食欲が長く戻らないといった様子が見られるときは、無理をさせず、かかりつけの小児科に相談してください。栄養素の過不足の判断は、自己判断ではなく医療機関で確かめることが安心です。
まとめ:陸上キッズの食事、5つのチェック
- エネルギー源の糖質(ごはん・めん・いも・果物)を3食+補食で切らさない
- 短距離は瞬発を支えるタンパク質も、長距離は糖質をいっそう意識
- 走る競技で需要が高まりやすい鉄分を食事から取り入れる
- 練習前は軽い糖質、練習後は「糖質+タンパク質」で回復
- 水分は5〜15℃をこまめに少しずつ、汗の多い日は塩分も
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出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(炭水化物・タンパク質・鉄の位置づけ)
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(飲料の温度・摂取の目安)
- 独立行政法人日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS)の栄養関連資料



