ジュニアアスリートのビタミンD不足、サインと屋内競技・冬期に意識したい食材

ジュニアアスリートのビタミンD不足、サインと屋内競技・冬期に意識したい食材

「うちの子、ミニバスで日に当たる時間が少なくて…」「冬になると体調を崩しやすい気がする」。屋内競技に取り組むお子さまや、冬期の屋外競技のお子さまの保護者の皆さまから、こうした声が届きます。ビタミンDは「日光ビタミン」とも呼ばれ、皮膚で日光から作られるルートと、食事から摂るルートの 2つしかない 栄養素です。屋内中心の生活や冬の日照不足が重なると、不足が起きやすい栄養素のひとつになります。今回は、ビタミンDの役割、不足のサイン、食材別含有量、日光浴の目安、そして屋内競技・冬期に意識したい組み立て方をまとめました。


ビタミンDが小学生アスリートに大事な3つの役割

役割①:カルシウム吸収のサポート

ビタミンDの代表的な働きは、腸からのカルシウム吸収を助けることです。骨量がぐんと増える小学生〜中学生の時期に、カルシウムをしっかり摂っても、ビタミンDが不足していると吸収効率が落ちてしまいます(出典:日本小児内分泌学会「ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き」)。「運動 + カルシウム + ビタミンD」の3点セットが骨形成に有利、というのは子どものカルシウムでも触れた通りです。

役割②:免疫機能の調整

ビタミンDと免疫機能の関連は複数の研究で報告されています。「ビタミンDで風邪が治る」ということではなく、免疫の調子を整える方向に働く可能性がある という関係です(出典:日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」、Vol.93 Suppl. Mar. 2017)。冬期に体調を崩しやすいお子さまの場合、ビタミンDの不足も要因のひとつとして気にかけてもよいかもしれません。気になる症状が続く場合は、小児科にご相談ください。

役割③:筋機能のサポート

筋力や運動パフォーマンスとの関連を示唆する研究もあります。不足が長く続くと、疲れやすさにつながる可能性があるとされています(出典:日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」)。ジュニアアスリートにとっては、骨だけでなく動きの土台にも関わる栄養素という位置づけです。

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』、日本小児内分泌学会、日本内分泌学会


不足のサイン(保護者が観察できる範囲)

医師の診断とは別に、毎日のお子さまの様子から気づきやすいサインを挙げておきます。

  • 風邪・感染症にかかりやすい時期がある(特に冬)
  • 練習後の疲れがいつもより残りやすい
  • 骨の伸び・身長の伸びが緩やか(個人差を前提に)
  • 軽い接触でも足を痛めることが増えた
  • なんとなく元気がない・活気がない時期がある

サインが続いたら

これらが 複数 + 1〜2か月以上続く 場合は、まず食事と日光浴の見直しから始めてみるのが穏やかな順番です。重度の不足(くる病・骨軟化症など)が疑われる場面では、小児科で血液検査の相談を。日本小児科学会も2025年に乳児期のビタミンD欠乏予防に関する提言を発出しており、子どものビタミンDは公衆衛生上の関心事になっています(出典:日本小児科学会 関連提言、日本小児内分泌学会「くる病」公開ページ)。

特に 屋内競技 + 日焼け止め多用 + 冬期 が重なる時期は意識したい組み合わせです。「不足症」と医療診断的に決めつけるのではなく、気になるサイン + 生活パターン を組み合わせて観察するスタンスがちょうどよいと思います。

出典:日本小児内分泌学会、日本小児科学会


ビタミンDの目安摂取量(年齢別)

厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』に基づく目安量を整理しました。

学年(年齢)目安量(μg/日)
小1〜2(6〜7歳)5.5
小3〜4(8〜9歳)6.5
小5〜6(10〜11歳)8.0

「目安量」は「不足が起きないと考えられる量」のことです。耐容上限量は学年で60〜80μg/日と幅があり、通常の食事では基本的に到達しない領域です(出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』 ビタミンD の章)。

参考までに、米国小児科学会(AAP)は1歳以上の小児・思春期に対し 1日600 IU(=15μg) のビタミンD摂取を推奨しています(出典:AAP "Vitamin D for Babies, Children & Adolescents" HealthyChildren.org、AAP "Prevention of Rickets and Vitamin D Deficiency in Infants, Children, and Adolescents" Pediatrics誌 2008年)。日本基準より高めの数字を示しています。これは食事だけで完結させる前提ではなく、日光浴と食事の両方 で達成する設計の数字と考えられます。

「○μgピッタリ」と神経質になる必要はなく、平均的な目安として頭の片隅に置く程度で十分です。

出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』、米国小児科学会(AAP)


食材別ビタミンD含有量(実用早見表)

ビタミンDは、含有量に 大きな差 がある栄養素です。鮭やさんまのような魚類が圧倒的に高く、それ以外の食材は少量ずつコツコツ積み上げるイメージになります。文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』に基づく値です。

魚類(最強の供給源)

食材ビタミンD
1切れ(80g)26μg(1日分の3〜4倍)
さんま1尾(100g)約16μg
いわし丸干し1尾(30g)約15μg
ぶり1切れ(80g)約6μg
かつお100g約4μg

卵・きのこ

食材ビタミンD
1個(50g)約2μg
しめじ1/2パック(50g)約0.3μg
干ししいたけ2個約2.4μg
きくらげ(乾)5g約4.4μg

しらす・小魚

食材ビタミンD
しらす大さじ2(10g)約1.2μg
ちりめんじゃこ大さじ2(10g)約6.1μg

「鮭1切れ」だけで1日分の3〜4倍を一気にカバーできるのが、この栄養素の最大の特徴です。週に2〜3回、鮭やさんまを登場させるだけで、平均的な目安量にはぐっと届きやすくなります。

出典:文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』、文部科学省 食品成分データベース


日光浴の目安と屋内競技の保護者向けTips

ビタミンDのもうひとつのルートが、皮膚での生成です。日光(紫外線UVB)を皮膚に浴びることで、体内でビタミンDが作られます。

日光浴の目安

国立環境研究所などのデータでは、夏の昼間は短時間、冬の昼間はやや長めで必要量が作れる目安とされています。具体的な「○分」は地域・季節・天候・肌の色で個人差が大きいため、ここでは細かい数字を断定しません。手・顔・腕など露出している部分が日に当たれば十分で、全身を晒す必要はありません。

ひとつの目安として、日焼け止め(SPF が高い製品)はビタミンD合成を減らす 方向に働くと言われています(出典:日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」)。「日焼け止めはダメ」という極端な話ではなく、完全防御ではなく適度に というバランスを取っていただくのが、現実的なところです。

屋内競技の保護者向けTips

屋内競技 + 冬期 + 日焼け止め多用、が重なる季節は、食事から積極的にビタミンDを摂る方向に振っておくと安心です。具体的には次のような工夫があります。

  • 通学・登下校・朝の練習前後の徒歩時間を意識的に確保する
  • 休日は短時間でも屋外で過ごす習慣を作る
  • 鮭・さんま・卵・きのこの登場頻度を上げる
  • 干ししいたけ・きくらげなど乾物を常備しておく

「室内ばかりでまったく日に当たらない」状態が続くと食事の負担も大きくなりますが、徒歩通学 + 週末の屋外時間 + 食事の工夫 の組み合わせで、現実的にカバーできる範囲です。

出典:日本内分泌学会、国立環境研究所、日本小児内分泌学会


5分以内で準備できるビタミンD強化メニュー

ここからは、忙しい朝でも5分以内で準備できる組み合わせ例をご紹介します。鮭・さんまを中心に、卵やきのこを散らす設計です。

朝(5分以内 / 前夜仕込みOK)

  • 鮭おにぎり(前夜の鮭を使い回し)+ 卵焼き + 味噌汁 → 約29μg(1日分超)
  • 卵かけご飯 + しらす + 牛乳 → 約4μg
  • 食パン + チーズ + ゆで卵(前夜茹で置き)→ 約3μg

補食(コンビニ・スーパー入手可)

  • 鮭おにぎり(コンビニOK)+ 牛乳 → 約26μg
  • ゆで卵 + バナナ → 約2μg
  • ちりめんじゃこおにぎり → 約6μg

夕(家にあるもので組む)

  • 鮭の塩焼き + ご飯 + きのこの味噌汁 + 小松菜のお浸し → 約29μg
  • さんま塩焼き + ご飯 + ひじき煮(市販パック)→ 約16μg
  • 卵入りチャーハン + わかめスープ + ヨーグルト → 約3μg

鮭・さんまを週2〜3回登場させるだけ で、平均的な目安量に届きやすくなります。コンビニの鮭おにぎりを補食に取り入れたり、前日の夕食の鮭を翌朝のおにぎりに使い回したり。手間をかけずにビタミンDを増やす方法はたくさんあります。

出典:文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』


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まとめ|ビタミンDチェックリスト

最後に、今日からそのまま使えるチェックリストを置いておきます。

  • ビタミンDは食事 + 日光浴の2ルートのみ
  • 目安量は学年で5.5〜8μg/日(2025年版基準)
  • 鮭1切れで1日分の3〜4倍を一気にカバー
  • 卵・きのこを毎日の習慣に
  • 屋内競技 + 冬期は意識的に食事から
  • 風邪・疲れやすさ・伸びの緩やかさは観察したいサイン
  • 日焼け止めは完全防御ではなく適度に
  • 改善しない・気になる場合は小児科に相談

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参考文献

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(令和6年10月) - https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」(令和7年2月) - https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
  3. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 - https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
  4. 文部科学省 食品成分データベース - https://fooddb.mext.go.jp/
  5. American Academy of Pediatrics (HealthyChildren.org) "Vitamin D for Babies, Children & Adolescents" - https://www.healthychildren.org/English/healthy-living/nutrition/Pages/vitamin-d-on-the-double.aspx
  6. American Academy of Pediatrics "Prevention of Rickets and Vitamin D Deficiency in Infants, Children, and Adolescents" Pediatrics 2008;122(5):1142 - https://publications.aap.org/pediatrics/article/122/5/1142/71470/Prevention-of-Rickets-and-Vitamin-D-Deficiency-in
  7. 日本小児内分泌学会「ビタミンD欠乏性くる病・低カルシウム血症の診断の手引き」 - https://jspe.umin.jp/medical/files/_vitaminD.pdf
  8. 日本小児内分泌学会「くる病」公開ページ - https://jspe.umin.jp/public/kuru.html
  9. 日本内分泌学会「ビタミンD不足・欠乏の判定指針」(Vol.93 Suppl. Mar. 2017) - https://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/vitaminDmanual2017.pdf

※本記事のビタミンD目安量は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づきます(2026年5月時点、WebSearchで完全一致確認済)。食材含有量は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の値を用いています。

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