
小学生サッカー選手の食事、おすすめは?|90分動き続ける身体を毎日のごはんから
「ハーフタイムでもうバテている」「後半になると足が止まる」「試合の終盤、シュートが力なく外れる」。小学生のサッカー選手を持つ保護者の皆さまから、こうしたお悩みが本当によく届きます。
サッカーは小学生でも1試合40〜60分(ハーフ20〜30分×2)、練習試合や大会では1日に複数試合をこなすこともあります。走り続けながら、瞬間的にスプリントとシュートを繰り返す競技です。今回は、サッカーで求められる身体の特徴と、練習・試合前後の食事の組み立て方を、無理のない範囲でまとめてみました。
サッカーで求められる身体の特徴
サッカーの動きは、大きく分けて2つの要素で成り立っています。
要素1:持久力(走り続ける力) 1試合を通じてコートを動き回るための有酸素運動能力です。小学生は40〜60分ですが、ジュニアユースに上がると80分試合も視野に入ってきます。
要素2:瞬発力(一瞬で爆発する力) 1試合の中で何度も発生するスプリント、シュート、ジャンプ、方向転換。瞬間的に大きな力を出す動きです。
そして、スライディングやショルダーチャージといった接触プレーに耐えるための 体幹の強さ も求められます。
つまり、サッカー食の核心は 「持久力と瞬発力の両立」 です。長時間コンスタントに動き続けるエネルギー源と、ここぞという場面で爆発するための糖質補給。この2つを噛み合わせていくのがポイントになります(出典:JFA『サッカー栄養学(F-MARC 健康とパフォーマンスのための飲食に関する実践ガイド)』、日本サッカー協会 栄養ガイドライン)。
練習前のエネルギー戦略
練習で力を出し切ってもらうためには、 練習開始までの時間配分 が大切です。
練習開始2〜3時間前の食事
主食をしっかり摂るのが基本です。ごはん茶碗1杯〜1.5杯、うどん、パンなど、消化の良い炭水化物を中心に組み立てます。タンパク質は、卵・鮭・鶏むね肉のように消化に重くないものを選ぶと、練習中の胃もたれが起きにくくなります。
メニュー例(5分以内で準備できるパターン)
- 鮭おにぎり(前夜握り置き)+ 卵焼き + バナナ
- ごはん + 納豆 + 味噌汁 + みかん
- トースト + スライスチーズ + ヨーグルト + バナナ
「焼き魚に味噌汁、副菜2つ」のような気合いの入ったメニューを目指す必要はありません。これで合格点と捉えています。
練習開始30〜60分前の補食
直前は糖質メインで、すぐにエネルギー化されるものを選びます。
- バナナ1本
- おにぎり1個
- エネルギーゼリー
揚げ物・玄米・生野菜大量など、脂質や繊維質が多いものは避けたほうが無難です。練習中にお腹が重くなりやすいためです。
水分の前倒し補給
練習開始の30分前までに、200〜300ml程度の水分を摂っておきます。一気にではなく、少しずつ分けて飲むのがコツです(出典:日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(第6版、2024年改訂)』)。
練習・試合中のエネルギー補給とハーフタイム
長く動き続ける競技だからこそ、 試合中の補給 がコンディションを左右します。
練習中は 15〜20分おきに少量の水分 を摂ります。一度に大量に飲むより、こまめに分割するほうが胃が重くなりにくく、トイレの心配も減ります。
試合のハーフタイムには、軽い糖質補給を入れるのがおすすめです。
- バナナ半分
- エネルギーゼリー
- 薄めたスポーツドリンク
「後半になると足が止まる」感覚は、 糖質切れのサイン であることが多いと言われています。お腹に重くないもの、すぐに口に入るものを、ベンチに準備しておくと安心です。
サッカーの試合では筋グリコーゲンが90分経過時点で著しく減少し、それにともない走行量やプレーの正確さが低下することが報告されています。ウォームアップ後とハーフタイム中の炭水化物補給(30g程度)が推奨されており、終盤のコンディション維持に関わると考えられています(出典:寺田 新ほか『競技選手における糖質と脂質の摂取比率に関する最近の知見』日本スポーツ栄養研究誌 vol.15、2022年)。
練習後のリカバリー食事
練習が終わったあとも勝負です。
練習後30分〜数時間の補食
糖質とタンパク質を組み合わせるのが基本です。
- おにぎり + 牛乳200ml
- サンドイッチ + ヨーグルトドリンク
- 肉まん + 牛乳
「30分以内に必ず」と神経質になる必要はありませんが、夕食まで時間が空く日は何かしら口にしておくと、夕食の食欲が落ちすぎるのも防げます。試合終了直後に糖質を摂った場合と2時間経過後に摂った場合では、筋グリコーゲンの回復に大きな差が出ることが研究で報告されています(出典:寺田 新ほか、前掲、日本スポーツ栄養研究誌 vol.15、2022年)。
その日の夕食で意識したい3点
- 主食しっかり:消費した糖質を回復するため、ごはんは普段より少し多めでも大丈夫
- タンパク質:鶏もも・豚肉・鮭・卵・豆腐・納豆など、多様な食材から
- 緑黄色野菜・果物:ビタミン・ミネラルで疲労回復をサポート
メニュー例:鶏の照り焼き + ごはん大盛り + ほうれん草のお浸し + 豚汁 + みかん
研究では、運動後のリカバリーには 糖質 + タンパク質 + 微量栄養素 の組み合わせが回復をサポートしやすいと考えられています。完璧を目指さず、1週間トータルでバランスが取れていれば大丈夫、という発想が現実的です(出典:日本スポーツ栄養学会、農林水産省『食事バランスガイド』)。
成長期の骨・筋肉サポート
サッカーは接触・着地・方向転換が多く、骨や関節への負担がかかりやすい競技です。成長期の体作りに関わる栄養素を意識しておきたいところです。
- カルシウム:牛乳、ヨーグルト、しらす、小魚、小松菜
- ビタミンD:鮭、きのこ類、卵黄(屋外競技なので、日光からの合成も期待できます)
- タンパク質:成長期+スポーツ活動のお子さまでは、体重1kgあたり1.2〜1.5gが目安として広く参照されています(食事摂取基準の推奨量に運動量を加味した、スポーツ栄養領域の一般的な目安。米国スポーツ医学会(ACSM)の声明では筋力・パワー系競技で1.2〜1.7gが推奨されています)
成長期は、競技と関係なく身体が伸びていく大切な期間です。サプリメントに頼るより、まずは食事のなかでこれらの食材を「いつもの献立に1つ追加する」感覚で取り入れていくのが続けやすい方法だと感じています。
詳しいタンパク質の量については、カルシウムの取り入れ方もあわせてご覧ください(出典:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』、ACSM Position Statement on Nutrition and Athletic Performance、2009年)。
水分補給と電解質
サッカーは屋外競技。夏場は特に大量の汗をかきます。
水だけを大量に飲むと、汗で失われた電解質(ナトリウム・カリウム)が補充されないまま濃度バランスが崩れることがあります。練習・試合中は スポーツドリンクや経口補水液を併用 するのがおすすめです。
ただし、軽い練習日まで毎回スポーツドリンクだと、糖質を摂りすぎる傾向もあります。強度に合わせて、水・麦茶と使い分ける感覚で十分です(出典:日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(第6版)』、環境省 熱中症予防情報サイト)。
試合期の食事(前日・当日・終了後)
試合のある週は、前日から終了後までを ひとつながり で考えるとシンプルです。
試合前日
普段より主食をやや多めに。ごはん、丼物、パスタ、うどんなどで、グリコーゲン(=エネルギー源)の貯蔵を意識します。揚げ物・刺身など、消化に時間がかかるもの・お腹を壊しやすいものは控えめに。
試合当日朝(試合3時間前まで)
消化の良い主食中心に、軽めのタンパク質を組み合わせます。
- おにぎり + 卵焼き + バナナ
- うどん + 鮭フレーク + みかん
- 食パン + ジャム + ヨーグルト
試合直前(30〜60分前)
バナナ、エネルギーゼリーなどで糖質をピンポイント補給します。
試合終了後
30分以内に糖質、その後数時間以内にタンパク質を含む食事を入れていきます。連戦の場合は 「補食 → 軽食 → 食事」 のステップで回復をつないでいきます。
詳しい試合前食事のタイムラインでも扱っています。
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まとめ|サッカー食チェックリスト
最後に、保存版のチェックリストを置いておきます。
- 練習・試合前は消化の良い炭水化物を中心に
- 練習中は15〜20分おきに少量の水分、ハーフタイムは糖質補給
- 練習後30分以内に糖質+タンパク質の補食
- 接触・着地に備えてカルシウム・ビタミンD・タンパク質を意識
- 屋外競技は電解質補給を忘れない
- 試合期は前日・当日・終了後をひとつながりで考える
サッカー食は「特別な食材を揃える日」ではなく、 普段のごはんに少しの工夫を重ねる日々 だと、私たちは捉えています。気合いを入れすぎず、お子さまの伸びしろを毎日のごはんから引き出していけたらと思います。
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参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 - https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」(2025年2月公表) - https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001396865.pdf
- 日本サッカー協会(JFA)「JFA栄養ガイドライン」(選手・指導者・保護者向け) - https://www.jfa.jp/medical/a08.html
- F-MARC(FIFA Medical Assessment and Research Centre)/JFA翻訳版『サッカー栄養学 健康とパフォーマンスのための飲食に関する実践ガイド』 - https://www.jfa.jp/medical/pdf/Nutrition_for_Football.pdf
- 寺田 新ほか「競技選手における糖質と脂質の摂取比率に関する最近の知見」日本スポーツ栄養研究誌 vol.15、2022年 - https://www.jsna.org/cms/wp-content/uploads/2022/12/15-p20-29.pdf
- 日本スポーツ協会(JSPO)『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(第6版、2024年改訂)』 - https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid523.html
- 国立スポーツ科学センター(JISS)「スポーツ栄養」 - https://www.jpnsport.go.jp/jiss/nutrition/tabid/1183/Default.aspx
- American College of Sports Medicine (ACSM), Academy of Nutrition and Dietetics, Dietitians of Canada: Joint Position Statement on Nutrition and Athletic Performance, 2009 / 2016 update
- 農林水産省「食事バランスガイド」 - https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
※本記事の数値・推奨は2026年5月時点の公的資料・査読論文に基づきます。お子さまの個別の状況についてはかかりつけの小児科・スポーツ栄養士にご相談ください。



